KAI FACT magazine
20周年を迎えた〈貝印〉上海工場。その強みは、風通しの良さと結束力。
FACT  No.04

20周年を迎えた〈貝印〉上海工場。
その強みは、風通しの良さと結束力。

 〈グレートワークス〉での打ち合わせを終えた〈上海貝印貿易〉の河合豊さんと、〈上海貝印刃具〉の工場へ向かった。場所は市の中心部から車で1時間半ほど西へ走ったところにある松江区。日系や外資系企業の工場が多くあるエリアで、生産を開始してから2016年でちょうど20周年を迎える。「上海工場は製造している商品の約99%がカミソリで、日本とアメリカへの輸出が中心なんです」と話すのは〈上海貝印刃具〉総経理の近松章さんだ。早速、彼に工場内を案内してもらうことにした。
 カミソリの刃を日本から輸入し、中国で成形、組立、包装、出荷を行うのが主な工程。設立当初の社員は約50人だったが、今ではアイテム数の増加に伴い機械の台数も増え、235名のスタッフがこの工場を支えている。米市場向けの商品も多く、世界最大のスーパーマーケットチェーン〈ウォルマート〉のカミソリも製造する上海工場。敷地面積は1万5000㎡とコンパクトで、工場内に設備が凝縮されているという印象。中でも近松さんが「これが上海らしさ」と胸を張るのは、コミュニケーションの円滑さだ。「工場内では1回線のトランシーバーを採用しているんです。例えば、作業効率を上げるために導線を改善するときなど、トップダウンで隅々まで話が通る。加えて、中国人はイエス・ノーがはっきりしていてせっかちなので、問題解決までもスムーズ。しかも設立当初からのスタッフが多いので、裏表なくクオリティ優先で物事を決められるんです」。
 今はほとんどの商品を輸出しているが、今後は国内の販路をいかに開拓するかが課題だと近松さんは語る。風通しのいい上海工場が、中国マーケットに突破口を開く日も近い。
〈上海貝印貿易〉総経理の河合豊さん(写真右)と
〈上海貝印刃具〉総経理の近松章さん(左)。
「消費意識が高まっている今こそ勝負を」と、熱く語り合う2人。

操業20周年の上海工場で働く3人。右から、技術部長の朱聃さん、副総経理の陳寧寧さん、品質管理課長の銭佳さん。朱さん、陳さんはスタート時からのメンバーだ。在籍スタッフのほぼ全員がこの松江区出身で「工場の町なので幼少期からモノづくりに親しみがあります」と朱聃さん。加えて「長い歴史を持つ〈貝印〉で働いているという誇りが家族のような結束感につながっている」と陳寧寧さん。


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