IHクッキングヒーターとは?発熱する仕組みをわかりやすく解説

IHクッキングヒーターとは?発熱する仕組みをわかりやすく解説

電気の力で調理器具を加熱する「IHクッキングヒーター」。火を使わないため火災リスクがほとんどなく、使用後のお手入れがガスコンロより簡単なのが特徴です。最近では多くのメーカーがIHクッキングヒーターを手がけており、家電量販店には多くの商品が並びます。

この記事では、IHクッキングの第一人者と言われている脇雅世先生にお話を伺いながらIHクッキングヒーターの発熱する仕組みからガスコンロとの違い、メリット、注意点などを説明します。さらに脇雅世先生がプロデュースされたO.E.CシリーズのIH対応鍋・フライパンもお伝えします。気になる人はぜひ読み進めてくださいね。

IH料理研究家 / 脇 雅世(わき まさよ)

約10年フランスに滞在し、パリの料理学校やレストランで料理を習得。料理本を50冊以上出版、うち4冊はIH関連。24時間耐久レース「ルマン」でマツダチームの料理長を11年務める。「きょうの料理」、「あさイチ」、「料理の鉄人」他にTV出演。2008年より貝印㈱と共同で調理道具「o.e.c.」シリーズも手掛けている。2014年にフランス政府より農事功労章を受勲。次女で料理家の加藤巴里とオンライン教室を開催中。
https://www.trois-soeurs.online

そもそも、IHとは?

そもそも、IHとは?

IHとは“Induction Heating”の頭文字を取ったもので、日本語では「電磁誘導加熱」と訳されます。

IHクッキングヒーターの仕組み

IHクッキングヒーターの仕組み

IHクッキングヒーターとは磁力発生用コイルを内蔵した調理機器のことです。コイルに電流が流れると磁力線が発生し、鍋底を通過する際に「渦(うず)電流」となり、その電気抵抗によって鍋全体が発熱するという仕組みです。

IHとガスコンロの違い

IHコンロとガスコンロの違い

IHクッキングヒーターは磁力と電気抵抗によって鍋を発熱させるのに対し、ガスコンロはガスを使って火を起こすのが大きな違いです。

IHは鍋底を通じて鍋全体に熱を伝える一方、ガスコンロは炎により熱せられた空気も鍋全体を温めます。ガスコンロ使用時に調理器具の持ち手が熱くなるのはこのメカニズムが働いているからなのです。

ガスコンロのメリットとしては、火加減を目で見て調節できること、また停電時も使えることなどが挙げられます。ただし、ビルトインタイプのガスコンロ(デジタル表示タイプや着火用にコンセントから電気をとっているもの)には停電の時使えないものがありますので、ご注意ください。

IHクッキングヒーターのメリット

IHクッキングヒーターのメリット

ここではIHクッキングヒーターのメリットを5つピックアップ。ガスコンロと比べながら、IHならではの魅力をご紹介しましょう。

火力調整が正確にできる

IHクッキングヒーターの火力調整はパネルで行うため、ボタンひとつで「とろ火」「弱火」「中火」「強火」などに調整できます。さらに温度も調整でき、多くの機種で10℃刻みでの設定が可能です。

火力と温度を正確にコントロールできるIHクッキングヒーターなら、火加減が成功のカギとなる揚げ物も気軽に調理できます。

火災へのリスクが低く、安全性が高い

IHクッキングヒーターはガスコンロのように炎を出さない分、火災のリスクが極めて少ないという点が優れたメリットです。

また衣服への着火や周辺のモノへの燃え移り、一酸化炭素中毒といった事故が起こりにくいのもポイント。小さな子どもや高齢の方でも安心して調理できるといえるでしょう。

お手入れしやすい

ガスコンロと異なり、五徳がないIHクッキングヒーターは表面がフラットですっきりしているのが特徴。トッププレートをさっと拭くだけで油汚れや吹きこぼしが簡単に取れるため、清潔な状態を保つことができます。

また燃焼ガスによる上昇気流がないため、周囲に油が飛び散りにくいのも魅力。換気扇や壁も汚れにくいので、日々のお手入れが簡単に済むのも美点です。

夏場でもキッチンが暑くならずに快適

IHクッキングヒーターは、トッププレートの上に置いた調理器具のみを熱する構造。ガスコンロよりも発生する熱が少なく、キッチンの温度が上がりにくいため、夏場でも快適に調理することが可能です。また火を使わないため、扇風機も安心して使用できます。

熱効率がよい

IHクッキングヒーターの熱効率は約90%と、ほとんどの加熱エネルギーを調理に活かせるのが特徴。ガスコンロの熱効率は約50%程度と言われているため、その差は歴然です。熱効率に優れているうえ、無駄なエネルギー消費を抑えられるので、地球環境にも優しい調理器具といえるでしょう。

IH料理研究家 脇先生コメント:

昔、かまどで煮炊きをしていた頃は安定してくぼみに置けるよう羽釜が発明されました。ガスの時代になると、吹きこぼれでガス火が消えないように文化釜という噴いた水分を受け止める構造の鍋ができました。火元が変わればそれに最も適した鍋が必要です。o.e.c.シリーズは、IHの発熱原理を踏まえ、鍋の鋼材を重視、蓋には通電しずらい鋼材を使ったり、ガスと違って炎で手が熱くならないので取っ手を短くするなど使う人の立場に立ってデザインされています。

IHクッキングヒーターの注意点

IHクッキングヒーターの注意点

IHクッキングヒーターはメリットが多い一方、気をつけるべき注意点もあります。ここでは代表的なものを3つ解説しましょう。

鍋底が焦げやすい

前述したとおり、IHクッキングヒーターは鍋底のみを加熱させる構造です。そのため火力を上げすぎると、どうしても鍋底が焦げやすくなります。炒め物や焼き物をする際は、通常よりも温度を低めに設定するのがよいでしょう。

またIHには渦巻き状に磁力発生用コイルが埋め込まれているため、ホットケーキやクレープは中心が焦げてしまいがち。美しく焼くためには、温度設定機能を利用すると良いでしょう。

ヒーターの表面が焦げてしまうことも

ガスコンロに比べて掃除のしやすさが魅力のIHクッキングヒーター。ですがガラス表面の汚れを放置しておくと、調理するたびに汚れが加熱され、焦げ付きが生じてしまいます。

吹きこぼれや油汚れは、調理が終わったら速やかにアルカリ洗剤で掃除するのが理想的。特に表面がホワイト系の機種は焦げ付きが目立ちやすいため、こまめにお手入れしたいところです。

IH料理研究家 脇先生コメント:

ガスの五徳周りに比べてIHの天板(トッププレート)はお手入れが簡単、またガスに比べてIHで使っている鍋は汚れづらい。どちらも真実です。ただ、それでもずーっと掃除しないでいると汚れが蓄積しなかなか落としづらくなります。YouTubeの動画でもこれらのお手入れ方法を発信しています。ぜひご参考ください。

「汚れた天面の掃除」
「汚れた鍋の磨き方」

IHクッキングヒーターで使える調理器具・使えない調理器具

IHクッキングヒーターで使える調理器具・使えない調理器具

磁力線の働きで鍋底を発熱させるIHクッキングヒーターは、使える調理器具が限定されます。ここでは使えるアイテムと、使えないアイテムをご紹介しましょう。

使える調理器具

鉄、ステンレス、ホーローの鍋やフライパン、ヤカンは使用可能です。加えて底が平らで、トッププレートに密着する必要があります。

注意点としてはステンレスでも「18-8 ステンレス」など、中にはIHコンロでは使えないものもあるようです。検討している方は、購入前にIHに対応しているかどうか販売店やメーカーに確認をすることをおすすめします。

使えない調理器具

土鍋、耐熱ガラス、陶磁器、アルミ、銅の調理器具は基本的には使用できません。また鍋底に磁石がつかない調理器具も使用不可です。一方でこれらの素材であっても、「IH対応」「オールメタル対応」と表記されているものは使用できます。

IH料理研究家 脇先生コメント:

鉄フライパンや鋳物のフライパンに磁石がつくのでもちろんIHに対応しています。しかしこれらはIHとの相性が良すぎて、IHにかけると一気に高温になりすぐ焦がしてしまう事も。慣れていないとかえって扱いにくい調理道具になってしまいます。発熱効率が程よい多重構造のステンレス鍋の方がおすすめです。

おすすめのIH対応鍋・フライパン

おすすめのIH対応鍋・フライパン

火を使わないためガスコンロより安全に使え、調理後のお手入れも簡単なIHクッキングヒーター。熱効率の高さにより、スピーディーに料理を作れるのも魅力です。「せっかくなら、調理器具にもこだわりたい」という人におすすめなのが、創業100年以上の老舗「貝印」と料理研究家・脇雅世さんが共同開発したブランド「o.e.c.(オーイーシー)」。IHを熟知した脇さんのこだわりが詰まった鍋やフライパンは、IHクッキングを一層楽しくさせてくれること間違いなし!ぜひお気に入りのアイテムを見つけてみてくださいね。

o.e.c. 卵焼き器 (スクレッパー付)

o.e.c. 卵焼き器 (スクレッパー付)

¥9,900 (税込)

料理研究家脇雅世さん監修のo.e.c.シリーズ。IHに最適な卵焼き器です。   IHに適したステンレスとアルミを合わせ、熱伝導性と保温性の両方に優れた卵焼き器を実現しました。底面を均一に加熱できるだけでなく、側面まで速く熱がまわります。耐熱性のハンドルなので、卵焼き器をそのままオーブンに入れて加熱できます。持ちやすく短いハンドルのおかげで、卵焼き器の重さをあまり感じさせず、調理がしやすくなりました。耐久性の高いフッ素樹脂加工「イクリプス」を使用しています。スクレッパーは、卵焼き器にぴったりと合ったサイズで、卵を返すのも簡単です。   ※IH/ガスコンロ/オーブン/シーズヒータ/ハロゲンヒータ/エンクロヒータ/ラジェントヒータ対応 ※フッ素フライパン・鍋保証サービスのお申込みフォームよりお申込みいただくと、フッ素保証サービスが受けられます。(※有料)   ◆o.e.c. 卵焼き器用カバーは こちら    

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o.e.c. フライパン 25cm (ふた付)

o.e.c. フライパン 25cm (ふた付)

¥19,800 (税込)

料理研究家脇雅世さん監修のo.e.c.シリーズ。IHに最適なフライパンです。IHに適した材質ステンレスとアルミを合わせ、熱伝導性と保温性の両方に優れたフライパンを実現しました。側面にまで熱が伝わりやすい底面を均一に加熱できるだけでなく、側面まで速く熱がまわります。   オーブンにも対応 耐熱性のハンドルなので、フライパンをそのままオーブンに入れて加熱できます。   持ちやすいショートハンドル 持ちやすく短いハンドルのおかげで、フライパンの重さをあまり感じさせず、調理がしやすくなりました。深さが5.7cmあるので、炒め物以外にも、煮物、揚げ物そして蒸し物も作れます。   中が見えるふた中央部はガラスなので、調理中に中を見ることが出来ます。耐久性の高いフッ素樹脂加工「イクリプス」を使用しています。   ※IH/ガスコンロ/オーブン/シーズヒータ/ハロゲンヒータ/エンクロヒータ/ラジェントヒータ対応 ※フッ素フライパン・鍋保証サービスのお申込みフォームよりお申込みいただくと、フッ素保証サービスが受けられます。(※有料)    

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o.e.c. 中華鍋28cm(ふた付)

o.e.c. 中華鍋28cm(ふた付)

¥22,000 (税込)

料理研究家脇雅世さん監修のo.e.c.シリーズの、IHクッキングヒーターに最適な中華鍋です。IHに好相性の材質を使っているので、熱効率がとっても良く、炒め物などをシャキッと仕上げることができます。底面を均一に加熱できるだけでなく、側面まで速く熱がまわります。深さを活かしたゆるやかなカーブは具だくさんの炒め物や煮物に適しています。ふたの中央部はガラスなので、調理中の様子を確認できます。補助ハンドル付なので、両手で簡単に持ち上げられます。   オーブンにも対応 耐熱性のハンドルなので、鍋をそのままオーブンに入れて加熱できます。   持ちやすいショートハンドル 持ちやすく短いハンドルのおかげで、フライパンの重さをあまり感じさせず、調理がしやすくなりました。深さがあるので、炒め物以外にも、煮物、揚げ物そして蒸し物にも適しています。耐久性の高いフッ素樹脂加工耐久性の高いフッ素樹脂加工「イクリプス」を使用しています。   ※IH/ガスコンロ/オーブン/シーズヒータ/ハロゲンヒータ/エンクロヒータ/ラジェントヒータ対応 ※フッ素フライパン・鍋保証サービスのお申込みフォームよりお申込みいただくと、フッ素保証サービスが受けられます。(※有料)    

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o.e.c. 片手鍋 18cm (ふた付)

o.e.c. 片手鍋 18cm (ふた付)

¥18,700 (税込)

対流が起こりやすい形状で、肉じゃがなどの煮物調理が上手にできます。補助ハンドルがついているので、鍋返しも簡単にでき、重さを感じにくくなっています。ウォータシールを生かして、無水調理ができます。 IHに適したステンレスとアルミを合わせ、熱伝導性と保温性の両方に優れた構造を実現しました。底面を均一に加熱できるだけでなく、側面まで速く熱がまわります。耐熱性のハンドルなので、片手鍋をそのままオーブンに入れて加熱できます。深さがあるので、煮物、揚げ物、蒸し物から炊飯まで、幅広いレシピに対応してくれます。蓋の中央部はガラス製なので、調理中に中の状態を見ることが出来ます。   ※IH/ガスコンロ/オーブン/シーズヒータ/ハロゲンヒータ/エンクロヒータ/ラジエントヒータ対応    

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o.e.c. ミニマ フライパン 15cm

o.e.c. ミニマ フライパン 15cm

¥5,500 (税込)

毎日のちょこっと使いに最適なサイズ。料理研究家の脇雅世さんのアイデアを製品化しました。IH料理研究家の脇雅世さんのアイデアいっぱいの【o.e.c.】シリーズ。毎日のちょこっと使いに最適な15cmのフライパンです。   オーブンにも対応 耐熱性のハンドルなので、フライパンをそのままオーブンに入れて加熱できます。    

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o.e.c. ミニマ 卓上鍋23cm

o.e.c. ミニマ 卓上鍋23cm

¥13,200 (税込)

形もサイズも主張しすぎない高さ7cmのシンプルな卓上鍋。 口径の広さと鍋の深さ、傾斜のある側面、そして熱や蒸気が対流しやすいドーム状のガラス蓋にこだわりました。熱伝導のよいステンレス鋼材とフライパンとしても使える深さ、ハンドルを含む鍋全体が耐熱仕様でオーブンに丸ごと入れられ、様々なシーンで活躍します。シンプルなデザインで家族・友人が集まったときのおもてなしに。   ※IH/ガスコンロ/オーブン/シーズヒータ/ハロゲンヒータ/エンクロヒータ/ラジェントヒータ対応   別売りのスチームプレートを卓上鍋と一緒にお使い頂くことで、料理の幅がさらに広がります。 ◆ミニマ スチームプレートは こちら    

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o.e.c. ミニマ 両手鍋深型15cm(ガラス蓋付)

o.e.c. ミニマ 両手鍋深型15cm(ガラス蓋付)

¥6,050 (税込)

毎日のちょこっと使いに最適なサイズ。料理研究家の脇雅世さんのアイデアを製品化しました。IH料理研究家の脇雅世さんのアイデアいっぱいの【o.e.c.】シリーズ。毎日のちょこっと使いに最適な15cmの両手深型鍋です。   オーブンにも対応 耐熱性のハンドルなので、鍋をそのままオーブンに入れて加熱できます。    

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o.e.c. ミニマ 両手鍋23cm

o.e.c. ミニマ 両手鍋23cm

¥16,500 (税込)

熱伝導が高く材質にもこだわりのあるo.e.c.シリーズ。 寸法23㎝、高さ11㎝と深さのある両手鍋なので、家族4人分程度の煮こみ料理(カレーやシチューなど)を作るのに適した深型の鍋。大きな塊肉などたっぷりの食材が入る容量と重すぎない重量感で、日々のごはんづくりに活躍します。 レシピリーフレット付き。 ======================== 〈おすすめポイント〉 1.熱効率・熱伝導に優れ、保温性も高いステンレス三層構造。食材にゆっくり均一に熱が入るので、うまみを逃さず、食材の持つおいしさを引き出します。 2.ステンレス+シリコーン材の取っ手。蓋以外はオーブンの使用が可能なので、調理の幅が広がります。 3.ドーム形状のガラス蓋付。高さのある蒸し料理にも適した形状で、調理中に中身を確認できます。 ========================   別売りのスチームプレートを両手鍋と一緒にお使い頂くことで、料理の幅がさらに広がります。 ◆ミニマ スチームプレートは こちら    

商品詳細ページ

IH料理研究家 脇先生コメント:

貝印株式会社の開発部の皆さんと2年以上試行錯誤し作ったo.e.c.シリーズの鍋や調理小物。ぜひ使ってその良さを実感していただきたいです。

まとめ

まとめ

ガスや火を使わずに調理できるため、安心して扱えるのがメリットのIHクッキングヒーター。表面に凹凸がない設計なので、使用後もサッと拭くだけで掃除が完了するのも魅力です。さらにIHに適した鍋やフライパンがあれば、日々の料理がより快適に、より楽しく行えることでしょう。ぜひこの機会にとっておきのアイテムを手に入れてみてくださいね。

また、IH調理に興味をお持ちの方は、IHクッキングの第一人者である料理研究家・脇 雅世さんと二女・加藤 巴里さんのYou Tubeチャンネルがおすすめです。

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