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IH対応鍋の見分け方とは?選び方とおすすめアイテムもご紹介

新築戸建てやマンションでIHクッキングヒーターの導入が進んでいる昨今。自宅をリフォームしたときに、ガスコンロからIHに交換したという人も少なくないかもしれません。そんな時代の波を受けて、IH対応の調理器具も続々登場。近年では使い勝手はもちろんのこと、見た目もおしゃれなアイテムが増えています。
一方で、種類やサイズはさまざまで、選び方に困ってしまうことも…。そこで今回は、IHクッキングの第一人者と言われている脇雅世先生にお話を伺いながら、IH対応鍋の機能やメリットや選び方などを解説します。記事の後半では、脇雅世先生がプロデュースされたo.e.c.シリーズについても紹介するので、購入を考えている人は、ぜひ読み進めてくださいね。
IH対応鍋とは?

まずはIHとIHクッキングヒーターの構造から簡単に説明します。
IHとは“Induction Heating”を略したもので、日本語では「電磁誘導加熱」を意味します。
IHクッキングヒーターとは、磁力発生用コイルを内蔵した電磁調理機器のこと。コイルから発生する磁力線が、トッププレートと密着した鍋を通る際に「渦(うず)電流」となり、鍋そのものを加熱させる仕組みです。フラットな形状のため掃除がしやすく、また鍋自体が発熱するため熱効率にも優れています。さらに、火を使わないので火災リスクが極めて少ないのもメリットです。
IH対応鍋とはIHクッキングヒーターで使える鍋で、電流を通すために鍋の鋼材がステンレス製や鉄製、または鍋底にステンレス板が張り付けられているのが特徴です。
IH対応鍋のメリット

ここではIH対応鍋のメリットを3つピックアップ。それぞれ詳しく解説します。
熱効率に優れている
調理器具そのものを発熱させるIHは、加熱時のエネルギーのロスが少ないのが魅力です。ガスコンロの熱効率が約50%程度と言われているのに対し、IHクッキングヒーターは約90%とその差は明らか。電気代を抑えられることはもちろん、地球環境にもやさしい調理器具であることも美点です。
火の燃え移りの心配が不要
ガスコンロと違い、IHクッキングヒーターは火を使わないのが大きな特徴。周辺のモノへの燃え移りや衣服への着火リスクが低いため、子供やご高齢の方でも安心してキッチンに立つことができるでしょう。
また鍋の油に火が入ることもないので、揚げ物もより安全におこなえるのもメリットのひとつです。
鍋底が平らなので手入れがしやすい
IH対応鍋の裏底は効率よく電流を通すために平らになっています。ツルンとした素材のものは汚れを落としやすいのが魅力。油汚れも固めのスポンジと中性洗剤でさっと洗うだけで落とせるため、家事の時短にもつながります。

IH料理研究家 脇先生コメント:
鍋底はどれも平らなのですが、ツルンとした素材のものや、少しざらつきのあるもの、メーカーの刻印のあるものなどさまざまです。手入れが楽なのは底貼りではなく、多層構造で厚手のステンレス製の鍋が段差もなく一番だと思います。
IH対応鍋の見分け方

ここでは、IH対応鍋を見分けるための3つのポイントを説明します。
まず素材を確認
IH対応の調理器具は、IHクッキングヒーターのコイルから発生した磁力線が電気抵抗によって伝わることが大前提。つまり、IH対応鍋の見分け方としては、鍋底が「電気抵抗のある素材」なのかをチェックする必要があります。
メーカーによって多少の違いはあれど、鉄やステンレス、チタンは電気抵抗があり、アルミや銅、耐熱ガラス、陶磁器はないことが一般的。そのためアルミ鍋や銅鍋、土鍋はIHクッキングヒーターで使うことはできません。
一方でアルミ鍋や銅鍋は、「オールメタル対応」とされるものはIHクッキングヒーターで2〜3割火力は落ちますが使用が可能です。自分の使用しているIHがオールメタル対応かどうかチェックしましょう。
底面が平らかどうか
IHクッキングヒーターは鍋底と密着しなければセンサーが反応しないため、底面が平らかどうかを確認する必要があります。底が丸い中華鍋などは使えません。
磁石を近づける
IH対応鍋は磁石がくっつく性質があるのが特徴です。鍋底に磁石をあてて、くっつくかどうかがIHコンロ使用可能の指標になります。
「手持ちの古い鍋の素材がわからない…」という際には、鍋の底に磁石を近づけてみるのがよいでしょう。尚、磁石はマグネットシールなどでもOKです。

IH料理研究家 脇先生コメント:
IH対応鍋といってもグレードはさまざまです。ただIHで使えるというものからIHと相性が良く快適に料理ができるものまで。ちょっと変な表現ですが、”IHに適しているIH対応鍋とは、鍋底の熱が効率よく側面に伝わる鍋”ということです。
IH対応鍋の選び方

ここではIH対応鍋を選ぶ際にチェックしたいポイントを4つご紹介します。
素材をチェック
IH対応鍋は“電気抵抗のある素材”であることが大前提で、一般的には鉄やステンレス、ホーローであればIHで使用可能と言われています。ただステンレスでも「18-8 ステンレス」など、中にはIHコンロでは使えないものもあるようです。検討している方は、購入前にIHに対応しているかどうか販売店やメーカーに確認をすることをおすすめします。
素材によって熱効率や使い心地、お手入れのしやすさなどは異なりますので、各素材の特徴や優先したい点をふまえ、自分に合ったアイテムを選びましょう。
鉄
鉄は熱効率の高さが大きな魅力。電力を効率よく熱に変えられるため、200度以上の高温調理にも適しています。野菜の炒め物をパリッと仕上げたいとき、ステーキやソテーをジューシーに焼きたいときに威力を発揮します。
ただし、内側がフッ素樹脂コーティングされていないものがほとんどで、食材が焦げ付きやすく、またサビやすいのが難点。一方で、正しく手入れすれば長く使えるため、コスパ重視の人にはピッタリな素材です。
ステンレス
ステンレスは鉄と同じく熱効率の高さが特徴。加えてサビにくい性質のため、調理後のお手入れにあまり時間をかけたくない人にイチオシの素材です。
保温性にも優れていることから、余熱を活かした調理も可能。シチューやカレーなどじっくり煮込む料理にも適しています。
一方で、スイッチを入れてから温まるまでに時間を少々要するのがデメリット。時短を重視するなら、アルミなどが加えられた厚みのある多層構造の鍋がおすすめです。
ホーロー
鉄にガラス質の釉薬を塗ったホーローは、酸やアルカリに強いのが魅力。汚れや臭いがつきにくいため、果物を使ったジャムやカレーなどの調理に適しています。またカラフルなアイテムが多いため、キッチンを華やかにコーディネートしたい人にもピッタリです。
ホーロー鍋には薄くて軽いものと、分厚くて重いものの2タイプがあります。前者は熱しやすいうえ冷めやすく、後者は熱しやすいうえ冷めにくいのが特徴です。煮込み料理には分厚いホーロー鍋を選ぶのが良いでしょう。
サイズをチェック
IH対応鍋は15〜28cmが一般的。選ぶときには、生活スタイルや家族の人数、使用用途に合わせるとよいでしょう。
たとえば、1人暮らしやちょっとした料理に使いやすいのは15-18cm、1〜2人用の主菜を作るのであれば20-24cm、3〜5人用なら24-28cm程度のものがおすすめです。
また、「どんな料理をよく作るか」を考えてサイズを選ぶのもひとつの手。ミルクの温めや、スープや味噌汁専用にするのであれば15cm程度のものが理想的です。一人暮らしでも週末に作り置き用のシチューやカレーを作るのなら25cm前後の深鍋が重宝します。
鍋底の厚み
鍋底はサイズだけでなく、厚みも毎日の使い勝手の良し悪しを大きく左右します。
たとえば厚みが薄すぎると変形や赤熱してしまう場合があり、また厚すぎると予熱をかける時間がかかってしまうこともあるようです。家庭での日常的な調理には、1.5〜2.5mmの厚さを選ぶのがよいでしょう。
SGマークの有無を確認
「安全面が保証されたIH対応鍋」が欲しい人は、SGマークの有無をチェックするのがおすすめ。
SGとは「Safe Goods(安全な製品)」の略で、一般財団法人製品安全協会によって認定されたマークです。「SG CH・IH」あるいは「SG IH」と表記されていれば、IHクッキングヒーターで安全に使用できる鍋の証です。
おすすめIH対応鍋

火を使わないことから火災リスクが低く、子供からご高齢の方まで安心して調理できるIHクッキングヒーター。近年では各メーカーから多くのIH対応鍋が販売されていますが、「せっかくなら間違いのないアイテムが欲しい」という人におすすめなのが、創業100年以上の老舗「貝印」が手がける「o.e.c.(オーイーシー)」シリーズ。
料理研究家・脇雅世さんとの共同開発によるブランドで、IHを長年使い続けている脇さんのこだわりが凝縮されています。きっと毎日のお料理がより快適になるでしょう。ぜひお気に入りの鍋を見つけてみてください。
o.e.c. 片手鍋 18cm (ふた付)
¥18,700 (税込)
o.e.c. 中華鍋28cm(ふた付)
¥22,000 (税込)
o.e.c. ミニマ 卓上鍋23cm
¥13,200 (税込)
o.e.c. ミニマ 両手鍋23cm
¥16,500 (税込)

IH料理研究家 脇先生コメント:
私がIHという加熱調理器具に魅せられたのは約30年くらい前。家庭で使えるIHに適した鍋がなかなか見つからず、剛を煮やして、大胆にも貝印株式会社さんにIHに向いた鍋を作りませんかと談判したのは2006年。それから約2年をかけてo.e.c.シリーズのフッ素加工の卵焼き器とフライパンが完成しました。以降o.e.c.のラインナップは増えていきましたが、o.e.c.のコンセプトは変わっていません。o.e.c.の鍋は、単にIHで発熱する鍋でなく、IHで快適に美味しく料理ができる、アイディアがいっぱい詰まっています。
まとめ

小さな子供からご高齢の方まで安心して扱えるIH対応鍋。裏底がフラットな形状なので、調理後のお手入れも簡単なのが魅力です。
今回ご紹介した、o.e.c.シリーズでは、鍋だけでなく、フライパンやキッチン雑貨も多数用意しています。IHクッキングヒーターでの調理を快適にする便利なアイテムを入手して、毎日の料理をより豊かに楽しんでみてはいかがでしょうか?
また、IH調理に興味をお持ちの方は、IHクッキングの第一人者である料理研究家・脇 雅世さんと二女・加藤 巴里さんのYou Tubeチャンネルがおすすめです。
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IH料理研究家 / 脇 雅世(わき まさよ)
約10年フランスに滞在し、パリの料理学校やレストランで料理を習得。料理本を50冊以上出版、うち4冊はIH関連。24時間耐久レース「ルマン」でマツダチームの料理長を11年務める。「きょうの料理」、「あさイチ」、「料理の鉄人」他にTV出演。2008年より貝印㈱と共同で調理道具「o.e.c.」シリーズも手掛けている。2014年にフランス政府より農事功労章を受勲。次女で料理家の加藤巴里とオンライン教室を開催中。
https://www.trois-soeurs.online