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IH調理器具はガスコンロで使用してもいい?ガスコンロ専用との違いも解説

オール電化住宅の増加などにともない、普及率が年々高まっているIHクッキングヒーター(IHコンロ)。火を使わないためガスコンロより安全に使えるうえ、調理後の手入れのしやすさでも注目を集めています。
一方で電気の力で加熱する構造のため、IH対応の調理器具でないと使えないのが少々デメリット。引越しを機にIH対応鍋を新調したという人のなかには「次の新居がガスコンロだったら、また買い替える必要があるの?」と気になっている人も多いかもしれません。
この記事ではIH調理器具やIHの仕組みについて、IHクッキングの第一人者と言われている脇雅世先生にお話を伺いながら詳しく解説します。またガスコンロ専用の調理器具との違いや、脇雅世先生がプロデュースされたo.e.c.シリーズについても紹介するので、購入を検討している人はぜひ参考にしてみてください。
IHクッキングヒーター(IHコンロ)とは?

IHとは“Induction Heating”の略称で、日本語に訳すと「電磁誘導加熱」になります。「電磁誘導」とは金属のそばで磁石を動かすことで電気が生じる現象を指し、この電流を「渦電流(うずでんりゅう)」と呼びます。
IHクッキングヒーターはこの仕組みを活用した調理機器です。トッププレートの下に渦巻き状のコイルが内蔵されており、鍋やフライパンとの間に渦電流を発生させることで、フライパンや鍋の底を直接加熱します。
IHクッキングヒーター(IHコンロ)のメリット

IHクッキングヒーターにはどのようなメリットがあるのでしょうか?ガスコンロと比べながら、詳しく見ていきましょう。
火災リスクがガスコンロよりも低い
IHクッキングヒーターの大きな魅力は火を使わないこと。火災リスクが低いうえ、近くのモノへの燃え移りや袖のもらい火の心配もありません。また燃焼ガスが出ないため、空気が汚れにくく燃焼時の水蒸気が出ないのもポイント。ガス漏れや一酸化炭素中毒といった事故を引き起こす可能性も低いため、子供や高齢の方はもちろん、料理初心者でも安心して使用できるでしょう。
日々の手入れが簡単
IHクッキングヒーターは凹凸のある部品がなく、トッププレートがフラットなのも特徴です。吹きこぼれや油の飛び散りもキッチンペーパーなどでサッと拭き取るだけ。日々のお手入れにかかる時間を短縮できます。また調理器具を直接発熱させるため、ガスコンロに比べ上昇気流が少なく、油煙による壁や換気扇のべたつきを抑えられるのも美点です。
正確に火加減の調節ができる
ボタンで操作するため、火力を簡単に調節できるのもIHクッキングヒーターのメリット。
火加減を目で確認するガスコンロと異なり、とろ火・弱火・中火・強火を正確にコントロールできるので、料理の失敗も防ぎやすくなるでしょう。
さらに揚げ物専用のボタンを押せば、最適な温度に自動で調整されるため、天ぷらやから揚げもカラリとおいしく仕上がります。
「温度調節が難しく、自宅での揚げ物は諦めていた……」という人には心強い味方になってくれるはずです。
部屋が暑くなりにくい
IHクッキングヒーターは調理器具を直接あたためる仕組みのため、熱が周囲に逃げにくいのが特徴。
空気も一緒にあたためるガスコンロと違い、キッチンの温度が上昇しにくく、暑い日でも快適に調理できます。
また炎を出さないため、扇風機などの風があたっても立ち消えの心配がありません。
熱効率に優れている
IHクッキングヒーターは調理器具そのものを発熱させるため、エネルギーの無駄を省けるのも魅力。ガスコンロの熱効率が約50%程度であるのに対し、IHは約90%とその差は歴然です。
優れた熱効率により高火力までの立ち上がりが早いのも強み。調理時間が短く済み、光熱費の節約にもつながります。

IH料理研究家 脇先生コメント:
鍋の外底で発熱させて鍋中の食材を加熱するIHは、この熱を上手に利用するために蓋を使うことをおすすめします。例えば、フライパンに予熱をかける時、油を敷いたら蓋をして予熱をしたり煮物には、煮汁を鍋中を行き渡らせるため落とし蓋やきせ蓋も上手に使いましょう。
IH対応調理器具とガスコンロ専用は何が違う?

ここではIH対応調理器具とガスコンロ専用の違いについて、「材質」と「底面の形状」の2点をポイントに解説していきます。
材質
IHクッキングヒーターは電気を流して鍋底を加熱する構造のため、調理器具の材質を選びます。一般的に鉄やステンレス、ホーローは使用できますが、アルミや土鍋、銅や耐熱ガラスは使えません。
ただし近年では、鍋底にステンレス板などが取り付けられた土鍋やアルミ鍋も登場しています。選ぶ際は「IH対応」という表示の有無をチェックしましょう。
底面の形状や大きさ
底面が平らでトッププレートに密着することもIH対応調理器具の必須条件。そのため素材が鉄やステンレスであっても、底が丸い中華鍋は使えません。
また底径は大きすぎても小さすぎてもNG。小さすぎると安全装置が働いて、火力が弱くなることも。反対に大きすぎると正しく温度を感知できない場合があります。
加熱スペースが3つ備わるIHクッキングヒーターの場合、手前は底径12-26cm、後ろは12-18cmを目安にするとよいでしょう。
IH調理器具はガスコンロでも使用できるの?

結論からいうと、IH対応の調理器具のほとんどはガスコンロでも使うことができます。

IH料理研究家 脇先生コメント:
IH対応の鍋をガスで使用するのは全く問題ありません。ただガスで鍋を長年使用すると五徳にのせて使うため鍋底の中央が撓んでくるものもあります。これが今までガスで使用していた鍋をIHで使おうとすると底が丸く変形していて発熱効率を悪くします。また料理中に鍋の外側に付いた煮汁や調味料は炎で炙られるのでこげつき、落としにくくなります。
IH専用調理器具とは?

IH対応調理器具のなかには、ガスコンロでは使えない「IH専用」のものもあります。ステンレス合金を使った鍋やフライパンがその代表格ですが、近年では生産が減少しています。
また卓上IHや、IHホットプレート付属のプレートや鍋はガスコンロでは使えない場合が多いです。
おすすめIH対応調理器具

使用できる調理器具が限定されるものの、火災リスクの低さや手入れのしやすさなど多様なメリットがあるIHクッキングヒーター。ほとんどの鍋やフライパンがガスコンロで使用できるので、汎用性は高いといえるでしょう。
近年では各メーカーからさまざまなIH対応調理器具が展開されていますが、「使い勝手の良さを優先したい」という人におすすめなのが、貝印の<o.e.c.>シリーズ。今回お話を伺った料理研究家・脇雅世さんが監修したブランドで、プロならではの知見が凝縮しています。ここでは同シリーズのおすすめアイテムをご紹介。これからIHの導入を検討している人はぜひ参考にしてみてくださいね。
o.e.c. フライパン 18cm (ふた付)
¥13,200 (税込)
o.e.c. フライパン 25cm (ふた付)
¥19,800 (税込)
o.e.c. 中華鍋28cm(ふた付)
¥22,000 (税込)
o.e.c. 卵焼き器 (スクレッパー付)
¥9,900 (税込)
o.e.c. ミニマ 両手鍋23cm
¥16,500 (税込)
o.e.c. ミニマ 卓上鍋23cm
¥13,200 (税込)
o.e.c. W角鍋
¥24,200 (税込)

IH料理研究家 脇先生コメント:
o.e.c.全ての鍋は外底面の熱を鍋全体に熱を効率良く伝える鋼材を使用しています。o.e.c.は単にIH対応鍋ではなく、IH調理に最適な鍋のシリーズです。
まとめ:ほとんどのIH調理器具はガスコンロで使えます!

炎を出さないため安全に使いやすく、使用後のお手入れも簡単なIHクッキングヒーター。熱効率の良さや夏場でも快適に調理できるなど多くのメリットがあります。
またほとんどのIH調理器具はガスコンロにも対応しているため、引越しが多い人でも安心して使えるでしょう。鍋やフライパンの購入を検討している人は、ぜひ本記事を参考に、自分に合ったアイテムを探してみてくださいね。IH調理に興味をお持ちの方は、IHクッキングの第一人者である料理研究家・脇 雅世さんと次女の加藤 巴里さんのYou Tubeチャンネルがおすすめです。
その他、Instagramも日々更新中です。

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IH料理研究家 / 脇 雅世(わき まさよ)
約10年フランスに滞在し、パリの料理学校やレストランで料理を習得。料理本を50冊以上出版、うち4冊はIH関連。24時間耐久レース「ルマン」でマツダチームの料理長を11年務める。「きょうの料理」、「あさイチ」、「料理の鉄人」他にTV出演。2008年より貝印㈱と共同で調理道具「o.e.c.」シリーズも手掛けている。2014年にフランス政府より農事功労章を受勲。次女で料理家の加藤巴里とオンライン教室を開催中。
https://www.trois-soeurs.online