KAI FACT magazine
地道な活動から、自らの発信へ! 市場と協力メーカーに近いという強みを生かす。
FACT  No.15

地道な活動から、自らの発信へ! 市場と協力メーカーに近いという強みを生かす。

2008年に設立された〈貝印信息咨訽(広州)有限公司〉は、中国国内における、品質管理と開発を一手に引き受け、協力メーカーとの深い信頼関係を築いている。そのナレッジを生かし、今後は広州からの発信による商品化を目指す。この取り組み自体が、市場の直接的な声を提案し、日本側へ刺激を与えることにつながる。グループ全体として大きな財産になるだろう。

広州から発信する新たな商品を!

 2008年に設立された〈貝印信息咨訽(広州)有限公司〉。中国、特に広東省に貝印の協力メーカーは多く、その品質管理と開発を担う拠点がつくられた。かつては貝印香港の品質管理担当者が4時間もかけて広東内各地へ出向いていたというから驚きだ。2018年7月に赴任したのが山内拓己GM。貝印でずっと開発畑を歩んできた経歴の持ち主。
 主要な業務内容は、品質管理と商品開発。それ以外に山内GMが赴任してから始めたものとしては「商品開発提案」がある。商品企画は通常、本社の商品企画部からの依頼や、メーカーから提案されることが多いが、自分たちからも積極的に考え、提案していこうというもの。「自分で考えて認めてもらう方が楽しいし、将来にもつながる」という。現在は3ヶ月に1回、商品提案の会議があり、社員それぞれアイデアを提案している段階。「市場に近く、協力メーカーとも直接やりとりしていることを強みとしていきたい」と山内GMは語る。製品化されるか否かはさておき、この作業を続けることで開発の知識向上とスキルアップを期待しているようだ。
 「開発では、まずひとつは広州発信のものを商品化したい。品質管理では″中国のメーカーについては広州に相談すれば何とかしてくれる″と思ってもらえるくらいに管理能力と判断力を高めていきたいです」と目標を語ってくれた。

山内拓己GM/貝印で主に美粧用品の開発に8年間携わり、2018年7月に〈貝印信息咨訽(広州)有限公司〉のGMに就任する。自主提案に挑戦するなど意欲的に活動。広州滞在歴はまだ1年半だが、日本人駐在員も多く、住みやすいという。体を動かすのが好きで、最近はフットサルやゴルフなどを楽しんでいる。

長く見守っています!

広州で行われた
ベジタブルナイフの商品設計とは?

広州の開発部署で初めて包丁の商品設計を行ったのが、野菜をモチーフにしたベジタブルナイフ。根に見立てた刃体が特徴で、この刃体設計を担当した。サヤの構造や成形金型の構造などは、広州サイドから提案し、その一部が採用されたものだ。「サヤを着脱しやすく、しかし簡単にはずれない設計にするのに苦労した」と山内GMは言う。この商品は広東省内の協力メーカーで製造されているので、試作サンプルの確認や修正、量産へ向けての調整なども行った。

三徳160mm さや付き
サイズ:300×60×17 重量:165g

小三徳130mm さや付き
サイズ:270×56×18 重量:133g

ペティ120mm さや付き
サイズ:248×42×15 重量:83g

現場に赴くことが大切

現在は、40社程度の協力メーカーとやりとりを進めている。「開発力がある協力メーカーを選びます。日系企業との仕事をしたことがない協力メーカーには、私たちの品質基準はとても高いもの。実際にそこまで達成していないのに独自に品質を判断してしまうことも多いので、現場に行くことが大切です」。

平塚昇PDM
商品開発部部長。家電メーカー等の開発部署を経て、2017年11月に現地採用。かつてハードロックバンドを組んでいて、復活しようと画策中。


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