医療用刃物の組み立てや包装をするクリーンルームでは、高い衛生管理のもと、
すべてのスタッフが足から頭までを覆う無塵服に身を包む。
特に白内障の手術などで使われるMVRナイフなどの眼科用メスは、高精度の顕微鏡を用い、
ミクロン(0.001mm)単位の細かい傷までチェックされる。



患部の柔らかい皮膚組織を削り取るキュレットという皮膚科用刃物の組立工程へ行くと、女性スタッフが笑顔で迎えてくれた。
1968年に操業を開始した関市小屋名工場には、三人の男が腕を高く掲げている銅像がある。
冬晴れの11月中旬。取材日に出社していた約350人のスタッフが小屋名工場の入り口に大集合。終始和やかなムードだったが、「写真とか、本当に照れます…」とちょっとシャイで控えめな人が多かった。小屋名工場は起伏の少ない平地にあり、澄んだ空気がすうっと通り抜ける。背伸びをしたくなるくらい心地よかった。