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あの人の洗面台と整える時間。vol.6 三上翔さん

良い日も憂鬱な日も遅刻しそうな日だって、かならず洗面台から1日が始まる。顔を洗ったり、歯を磨いたり、鏡に向かって笑顔の練習をしてみたり、気分を上げるための“整える”時間は十人十色だ。今をときめく人たちは、どんな洗面台で、どんな1日の始まりを迎えるのだろう。洗面台を舞台にしたインタビュー企画、第6回目は大阪の伝統を今に伝える注染手ぬぐいブランド〈CHILL〉を手掛ける三上翔さん。

三上翔
1982年、大阪府柏原市出身。祖父の代より、地元に古くから伝わる染色技法・注染に使う防染糊の町工場を経営しており、「この技術をもっと広めたい」と2016年に手ぬぐいブランドをスタート。手ぬぐいを中心とした雑貨を扱う直営店もあり、イベント出店なども行いながら精力的に活動する。
Instagram @chill_tenugui

家業を営む傍ら、手ぬぐいアーティストして活動する三上さんは、古い民家をリノベーションした一軒家で奥さんと子どもと3人暮らし。円形のミラーが目を引く洗面台は、収納を活かして極力モノを置かないようにしているそうで、きれい好きの奥さんの協力もあり常にピカピカの状態に保たれている。

「幼い子どもがいるので毎日ドタバタです」と朗らかに笑う三上さん。朝はご自身の支度と並行して、保育園に向かう子どもの着替えをしたり朝ご飯を食べさせたりと大忙し。スキンケアやメイクに時間をかける奥さんを気遣い、できるだけスピーディに洗面台を使うようにしているんだとか。

歯磨きや洗顔は素早く済ますそうだが、トレードマークのヒゲの手入れはきっちりと。「20〜30代の頃は生やしっぱなしの無造作感が好きでしたが、年齢と共に見た目の清潔感を意識するようになりました。ヒゲをきれいに整えることで、今日も一日がんばるぞと気合いが入るんです」。

洗面台近くの棚の中にはカラフルな手ぬぐいがぎっしり。どれを使うか選ぶのも楽しみだそう。
「顔を洗う時に床が濡れちゃうのがイヤで」と、洗面台に立つ際は床に手ぬぐいを敷くのが定番。

慌ただしい日々の中でも、大好きなコーヒーを楽しむひとときは大切に。ホーローのやかんを持つ際も手ぬぐいを使用する。「挽きたての香りが好きなので、一回一回豆を挽いて丁寧に淹れています。子どもが生まれてからは、電動タイプのコーヒーミルを使うようになりました」と三上さん。ライフスタイルの変化に合わせて、自分のこだわりと効率化とのちょうどいいバランスを図っていた。

支度の合間を縫って、納品された手ぬぐいを慣れた手つきで畳んでいく。「単純な作業ですが、フラットな気持ちで集中して向き合える朝が一番はかどるんです。これを一心に続けることで、雑念を払って気持ちを整えています」。そう話しながらせっせと作業を行う彼の側には、気付けば手ぬぐいの山ができていた。

リビングには、音楽をこよなく愛する三上さんの作業スペースがスタンバイ。特大のスピーカーやターンテーブル、ミキサーなどがずらりと並ぶ。「朝は、気分が高まる音楽をかけたり童謡を流したりして自分と子どもの機嫌を取っています」と、モチベーションアップのための習慣も欠かさない。

「今日はこれにしようかな」と、バッグの中にハンカチ代わりの手ぬぐいを忍ばせる。年齢を重ねたからこそ、自身の身だしなみやライフスタイルにおける清潔感を重視していた三上さん。幼い子どもの育児に奮闘しながらも、マイペースを維持する習慣を大切にする朝。洗面所やキッチン周りなど、何度でも繰り返し使える手ぬぐいをさまざまなシーンに取り入れたエコな暮らしを実践することで、心を穏やかに保ちつつ気分を上げていた姿が印象的だった。

Photography_Masao Inoue, Text_Yuka Muguruma, Direction_Michika Kuriyama


ABOUT AUGER®

忙しい朝も、穏やかな夜も、人間らしさを取り戻す。身だしなみを整える時間は、自分と向き合う時間でもあります。自分の心に触れて日常を整えると、普段の何気ない時間が愛おしくなる。AUGERが提供したいのは、暮らしを「整える」心地よい豊かな時間です。

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